2016年10月23日 (日)

歩きたいなぁ

20161023
なんかとても久々の更新になってしまいました。
今までのことも色々書きたいことはあるのだけれど、とりあえず今回は読了した本について。
読んでいる間に感じたことをとりあえず残しておきたく、ブログを開いております。

読んだのは北村薫『八月の六日間』。
雑誌の編集者をする女性主人公が、忙しい合間にひとりで山に行くエピソードで綴られる小説です。

私はここまで忙しい仕事をしているわけじゃないし、ハードな山にも登らないのだけど。
でも主人公の彼女の感覚と、私がひとりで旅に出る時の感覚がとても似ていて、かなりの親近感を覚えました(しかし、作者は男性なのです、びっくり。もともと、女性じゃないかと間違われることが多い作者です)。

そして、読みながら、昔に上高地を歩いたことを思い出しました。
まだTwitterなどないころで、たまに友達にメールを送る位で、あとは黙々と歩いたなぁ。

小説の中で主人公は色々な人と出会ったりすれ違ったりするわけなのですが。
私が上高地に行った時も、色々な方と言葉交わしたりすれ違ったりしました。
上高地の奥の方、徳沢ロッジに泊まった時は、ハードな女性クライマーと同室になりました。夕方遅くに到着した彼女は、「途中アイゼン片方落しちゃったみたいで…。蝶ヶ岳は思ったより雪多いし、片足が埋まって抜けなくなったけど、この時間に下りてくるひとなんてもういないだろうから、必死に下りてきたわ」と言っていた。
そして、翌日は4時に出発して東京に戻り、そのまま出勤するとのことで、朝起きたらすでにいらっしゃらなかったのだけど。前日の寝る前にちょっとだけ伺った話はとても面白かったです。

それから、昼間にロッジの玄関にいたとき、そばの公衆電話で話していた男性。
ご家族への電話だったようだが、「今、徳沢に着いたよ。うん、横尾でラーメン食ってビール飲んだ。大丈夫、大丈夫、もうあと下りるだけだから明日には帰れるよ」と報告していた。ホッとした感じの笑顔。そうだよね、ご家族は心配だよねぇ。

本を読んでいる間中、そんな山の空気を懐かしく思い出していました。
とりあえず高い山は無理なのだけど。危なくない程度にまた山を歩きたいなぁと思っています。とりあえず東京近郊を軽く歩く位かなぁ。
そしてまた上高地にも行きたいな。小説にも出てきた、私も大好きな場所の白駒池。
なんか懐かしく、山の空気の匂いを思い出していたりします。

※ロッジで同室の女性と電話で話していた男性の会話は、当時に書いていた旅行記が見つかったので、そこからコピペしました。

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2015年4月12日 (日)

喋る自販機

今朝駅までの道を歩いていたら、近くに誰もいないのに自販機が「○○(ここが聞き取れなかった)、あったか~い飲み物どうでっか? ○○、つめた~い飲み物どうでっか?」と、延々と喋っていた。壊れているのだろうか?それにしても何故関西弁?自販機、商売人だからか?

昨日読み終えた恩田陸さんの短編集、『私と踊って』の中の一遍、「東京の日記」を思い出す。
「東京の日記」は現在の東京とは似ていても異なる、しかも災害の後の戒厳令下の東京を舞台に、海外から訪れている私が、その様子を日記という形式で綴っているという設定の物語。
その中で、日本の自販機はよく喋る、中に人がいるのではないかと思ってしまうとか、意思を持っているのでは?とか、夜中に光って自販機同士で交信しているのではないか?という件が出てくるのだ。
うーん、近所の自販機も交信を始めたのか、狂ってしまったのか?

「東京日記」は2010年に書かれたのですが、その後の日本は・・・、ネタばれになってしまうので、興味がある方は是非読んでみてください。

それにしても、短編集は中途半端な感じで終わってたりとか、物足りない物も多い。気軽に読めるけれど、読んでいるとやはりがっつり長編が読みたくなる。
なので今日からの読書はまたまた恩田陸さんの『夜の底は柔らかな幻』です。上下巻の長編、ダークファンタジー。
短編と長編の兼ね合いもそうなのだけど、リアルな感じの現代物のミステリをしばらく読んでると、段々ファンタジー色が強いものが読みたくなる。どちらも好きだし、はっきり言えるのは、私は物語が好きだ!ってことなんだな。
漫画もその範囲に入るし、多分TVでドラマを見るのが好きなのもその延長だと思う。
実際の旅行もアウトドアも好きなのだけど、物語はたった一人、自分の身ひとつ、どこにいてもふっとその世界に入って遊ぶことが出来る。それは私にとって、とても幸せなで大事な時間だったりいたします。
さあて、今晩もふきことくっ付きながら大好きなお布団に包まって、物語の世界で遊ぼうかな。至福!

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2014年9月14日 (日)

のろのろ歩け

20140914
現在、ひどい風邪ひき。といっても熱はなく、咽喉と咳の風邪。会社を2日休み、その後に2日公休(現在、土日も仕事の部署なので、休みが不定期)。一昨日からそろそろと出勤、週末は忙しいので昨日は1日ほぼ電話で話していたら・・・・・・、今朝声が出なくなっていた。
またまた本日もお休みしてしまいました(泣)

何年かに1度、この状態になるのだよな。
罹ると咽喉がやたらに過敏になり、夜睡眠中に咳き込んで眠れなくなるのです。
金曜日に1日働き、咽喉が更に過敏になって夜咳き込んで眠れず、その弱った状態で仕事したのが今回の悪化の原因と思われる。
現在は煙草は吸ってませんが、まだ煙草も吸ったことがなく酒もあまり飲まず、特に話す仕事もしていない20代前半でもなったことがあるので、どうもこれは体質のようである。

弱ってる時は猫は寄り添ってくれますが、あまりに咳き込むと別の場所で寝てしまいます。まあ、聴力に優れた方なので、煩いのだろうな。
写真は床に置いてあった夏掛けの上に寝ているところ(笑)

さて、タイトルの『のろのろ歩け』、中島京子さんの小説です。中国が舞台になっており、なかなか楽しく読んでます。

そういえば同じように風邪で声が出なくなって、しかし旅の予定は入れていたので出掛けたってことがあった。その時に房総のリゾートホテルで読んだのは中上紀さんの『悪霊』。バリが舞台でバリ舞踊が主題となっている小説でした。
やはり咳で夜眠れなくて、あの時はちょっと熱っぽくもあって、ガムランの響きの中でうなされてる気分だったことを覚えています。
あれもなかなか思い出深い旅であった。

今は特に熱はなく、今日など外は爽やかな天候。
今回の小説もあまり重い内容ではないので、気持ちよく読んでおります。中国も行きたいなぁ。

ただ寝ているだけではなく、ちゃんとお医者にも掛かってます。
この症状の場合は耳鼻咽喉科がいいので近所で探して行ったら、耳鼻咽喉科のある医院が撤退してた。で、同じ場所に出来たばかりの内科に掛かったのだが、そこがなんかいまいちだったのである。大して診察もせずに「あまり最初から強い薬は出せませんよ」って言われて出された薬は全く効かず。今日、改めて別の病院に行きました。しかし、日祝にやってる耳鼻咽喉科は見つからず、再度内科ですが。
今度の薬は効くといいな。でも、明日も出社は無理かなぁ。
とりあえずタイトルのように、のろのろでも直して行きたいと思います。

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2014年4月 1日 (火)

うつくしい人

最近読んだ本について。『うつくしい人』。大好きな作品、『きいろいゾウ』を書いた西加奈子さんの本です。
たまたま手に取り読み始めた時、仕事で大ポカをやらかした直後。主人公も仕事の失敗で会社辞めちゃうし、暗いし、旅に出る話だけど、旅立つ開放感もないし。読んでると段々暗くなりそうでどうしようと思いつつ、しかしなんだか読み進む。
読める気分の時にゆっくりと、途中美味しそうなビールに後押しされつつ、何とかやめないで読み進んだ。そして、進むに連れて段々自分も元気になってきた。
最後は美味しいビールが飲みたくて、静かなお店でビール飲みながら読みきりました。ああ、なんか元気になった。

あとがき読んで、作者が書いた時の気分と自分の気分、かなりリンクしてたんだって思った。

私も、物語を書き終わる頃には、面倒な中二の部室から出て、卒業式手前の落ち着かない中三、くらいまでの回復を見せました(あとがきより)

行きたい部署への異動が決まって、浮き足立たないようにしようと思ってたのに、仕事で大ポカ。大丈夫か自分?異動の話はどうなる?とかで落ち込んだうえ、不安。でも、同僚は結構笑い飛ばしてくれて、鬱々しながらも自分も笑って、そのうち段々元気になって。猫にだって助けてもらって(これもあとがきにもあったのだ)、元気になった。異動の話も大丈夫だった。で、今は(1つ前のブログにも書いたが)卒業式目前。
まきさん(主人公)も私も、きっとまた落ち込んだりするんだろうけど。でも、また元気になり、それを繰り返していくんだ。きっと、大丈夫!

自分で不幸になれる人は 自分で幸福にもなれる(あとがきより)

この今のタイミングでこの本に出会って良かった。そして私が落ち込んでいたとき、周りで励ますでもなく笑い飛ばしてくれた、私の坂崎さんやマティアスに感謝です。

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2009年3月30日 (月)

猫がもてなす

猫がもてなす宿 昨日、猫が女将の宿みたいのを書きました。まあ、実際にはそんなのはないと思いますが、そういえば一昨日に図書館で借りた本。「猫がもてなす宿」。
これが頭にあったから昨日の日記になったのかなとも、後から考えたり・・・。

図書館で借りるのは読み物が中心。特にガイドブック関係は情報が古いと役に立たないし、借りることはまずないのだが。巻頭の京都・祇園の宿で紺暖簾をくぐってくる日本猫の写真、あまりに可愛い!とにかく写真が綺麗で借りてしまったのでした。
写真が綺麗で、見ているだけで楽しい。出てから時間が経っているし、発刊された時点で旦那さんが亡くなったため、現在は営業していませんと書かれた宿もあるし。で、ついネットで掲載の宿を調べてしまったり。ちょっとこの本も買って手元に置きたいとか思ったり。
猫と遊べる宿(とは書いてないが)、いつか泊まりに行きてー!(笑)

最近、巷では猫ブーム。元々ペットブームはあったし、何故犬ではないかって理由が書かれた物を見たことがある。
犬好きは自分が飼ってる犬、もしくは同じ犬種にしか興味がないとか、好みの犬種にしか興味がない人とかが多いらしい。
でも、猫好きは他所の猫とか、全ての猫に興味を持つ人が多いとか、そんな内容でした。
元犬好きとして、それすごくわかるのだよね。
犬好きだけど、私の好みは大型犬&日本犬で耳がピンと立ってる奴(だから、土佐犬とかは日本犬でも範囲外)。そして、犬好きだけど、わざわざ犬のブログを検索したりはなかったな。
でも、猫と暮らしだして、猫好きなってみると。やっぱり他所の猫も可愛い。お気に入りの猫ブログフォルダもどんどん増えていくし・・・(笑)
そうだ。以前にスタッフ犬と遊べるドッグランに行ったけれど、自分の犬が居たら行かないかも?
でも、自分の猫が居ても、猫カフェは行ってみたい気分満々(笑)
猫好きは、もしかしたら貞操なしかもです。

20090329_3

さて、うちの女将(笑)うららかな春の日。お客様を待っている様です。

※ここのアマゾンのリンクから行ってみて知ったが、『ようこそ女将猫』って本も出ているらしい。
現実は想像の上を行く・・・ってことで追記します。

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2009年3月13日 (金)

廃墟の記憶

1972 青春 軍艦島最初に軍艦島のことを知ったのはネットで見たモノクロの写真。廃墟が大ブームになって色々な本が出るのはそれより後で、カメラマンも特に廃墟マニアではなかったと思う。他の写真は街だったり、全然別の題材だし。でも、その時見た軍艦島の写真は物静かで、でも迫力があって(現在は、軍艦島の写真はアップしていない様)、過去には沢山の人が住んでいたのに今は誰も居ない場所ってのに何故かとても惹かれた。

元々建物関係は、間取りも人が住んでいるインテリアも好き。そして打ち捨てられてしまった住居とかも実は好きだったのだと思う。それがその軍艦島の写真、そしてそれをきっかけに見ることになった廃墟の写真集などで、余計に火が付けられた感じで・・・。
その後、長野に居た時にちょっと廃墟を巡る機会に恵まれたりもした。その頃廃墟関係のHPを巡っていて、金沢のとあるホテルの廃墟。そこにとてもとても行きたくてしょうがなくなったところ、廃墟の神様が微笑んでくれたのか、行く機会を得た。現在は既になくなってしまった建物です。

そんなわけで廃墟には興味も思い入れもあって、そして軍艦島は私にとって(行ったことはないけれど)きっかけの場所。
そんな軍艦島に関する本を最近読みました。廃墟系ではなく、まだ軍艦島に人が居住していた頃の写真が中心となった本。作者はカメラマンを志していた青年時代、労働者として半年間軍艦島に住み込んでいて、その時に撮った写真です。
今は誰も居ない場所だけど。私が子供だったあの時代、ここではこんな風に沢山人が暮らしていて、働いていたのだ。ここに写っている人はここで生きていて、そして翌年にはみんなが島を離れて、そして日本のどこかに散り散りになったのだなぁ・・・って、不思議な感慨を覚えた。そして、何故か写真を見ながら、全く別の場所に思いを馳せたりも致しました。

実は長野に居た頃、やはり閉山した岐阜県の神岡鉱山跡に行くこともあったのです。
独身寮らしき建物はコンクリート作りで、部屋によってはまだそのまま住める様。娯楽室には卓球台とか、学校や保育園の建物もあった。ここで生活していた人が居たのだよなって、その場所に立って思って。明るい秋の日で、あまりにも静かで綺麗で。でも、既に木造の建物は場所によっては屋根が落ちかけていたりして。この場所もどんどん静かに朽ちていくのだな・・・って切なく思った。
今回、本を読みながら、「神岡のあの場所にも今は雪が積もっているんだろうな」とか、「だれも見ていなくても、春になったら雪が溶けて、花が咲いて・・・、そして時を重ねてその内何もなくなってしまうのか」とか、なんだかそんな事を思ったのでした。
200903131 シャッターが閉じられて、もう開くことはない店舗。
200903132 保育園。何故か庭は草刈りされた様に芝が綺麗でした。
でも、建物に貼られた文字は落ちている。
200903133 独身寮の大浴場。閉山まではみんなが使っていた場所なのだよね。

そして最後の写真はそれとは別で・・・。
200903134_2 どうしても行きたくて、行くことが出来た金沢のホテル。この場所に立って、この建物を見てみたかった。中に入って屋上から空を眺めてみたかった。それが叶いとても嬉しかった。そして、とても貴重な体験でした。

この建物は既に3年ほど前に解体されてしまいました。とても残念。解体の事実を知った時はかなり切なかった。
軍艦島も神岡も徐々に・・・。今回、この本を読みながらそんなことを逡巡したのでした。
とりあえず、今は亡き白雲楼へ・・・悼。

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2007年9月27日 (木)

こういう老後良いなぁ

ポテト・スープが大好きな猫

たまたま猫関係のサイトをめぐっていて、紹介しているのが目に付いた本。
絵本ってほとんど買うことないのですが、これは何だかぴんと来た感じ。表紙の絵の感じとか、あまり可愛すぎないのが良い感じだってのもあったかな。
訳は村上春樹。アメリカの書店でたまたま見かけて気に入って翻訳したらしい。

で、読んでみて。うーん、すごく良いです。
短い話だけど、途中結構ドキドキして読んだ。この猫との付き合い方良いなぁ。
猫が何だか良くわからないけど、一生懸命話するのって何だかわかる。光景も目に浮かぶ。
訳者のあとがきで村上春樹が年取った雌猫の性格について書いてるけど、風姫はまだ若い雌猫だけど気難しいけど感情細やかって性格はかなり既にある。

そして、年取ったらこんな生活良いなぁって思うわけです。
最低限の物だけ持って、毎日好きなことをして、猫と二人で。で、お互いに理解したり、ちょっとすれ違ってみたり、でも最後には仲良く一緒の布団で寝る様な生活。
今も結構その生活に近そうに見えるところには居るけれど、やはりまだまだ物欲や行きたいって場所などあったり境地には行けませぬ(笑)
まあ、色々な欲がなければ、仕事なんてやってられないかもです。

そういえば松本に居る頃に、「最低限、美味しい食事とお酒が飲めるカフェと図書館と(日帰り)温泉があれば実は後は何も要らないのかも」って心境になったことがあるのですが、今は猫が居ればもっと幸せかなって感じになっております(笑)

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2007年4月13日 (金)

ラストでやられた〜!

最近2冊読んだ本。続けてラストで「やられた〜」って感じだった。
今まで、「衝撃のラスト」とか言われても、そんなに衝撃を受けたことなかったんだけどな。

1冊目は若竹七海「ぼくのミステリな日常」。
連作短編集の形式の作品。小説部分は社内報に毎月連載された匿名作家の作品という形をとられて、最初と最後に狂言回し的な役割の若竹七海(作者と同名だが作中の登場人物)が手紙や編集後記の形での編集者としての文章を書いている。
で、短編の小説部分。ミステリだったりホラーだったり、1作1作それぞれ趣向が違っていて面白い。
小説部分は匿名作家である作者「ぼく」が見聞きしたことを元にしたほぼノンフィクションって設定なのだけど、この「ぼく」もなかなかいい奴なんだよね(っていうか、そういうイメージで書かれている)。
短編集の中でも、「あっ、そうだったの?気づかなかった・・・」って言うのはあったのだけど・・・。
短編の部分を読んでいて、「なんかこれ好きだ」って思って。
ただ、それとは別になんかちょっと気になることがあって。「実際にそういうことあるのかな?」とか、「なんか繋がってないような・・・」とか。
でも、自分の考えすぎかも?作者は気づかないで書いているかも?とか思ったり。
実際に他の(作家の)作品で、この位の矛盾なら普通に書かれている場合があるし。
なんて思ってたら、実はそこら辺が実は伏線で、最後に「そうきたか」って風に繋がってしまったんだよね、これが(笑)
内容に関わってしまうので、詳しくかけないのがもどかしい。
しかし、私はラスト読んでから、再度順追ってざっと読みました。
ミステリでラスト読んでから、再度犯人の行動を追ったりのためパラパラ読むことはあるけれど。
再度ここまで読むのは珍しい。
この作家は今まで何冊か読んでいて、ただあまり印象に残るのなかったけれど、この作品は好きだって思った。

2冊目は本日読み終えた荻原浩「噂」。
これは新聞の書評で面白いかもって思って読み始めた、私にとっては初めて手に取った作家。
サイコ・サスペンスということで、もっとおどろおどろしいかと思ったけれど、刑事の父娘の会話とか、中年刑事と若い女性警部補のコンビの様子とかほのぼのした感じもあり、結構楽しく感情移入して読み進めた。実は感情移入して読んでる場合ではないのだよ(笑)
あらすじには「衝撃の結末を迎える」と書かれていたのだけど、犯人逮捕の辺りのシーンで「衝撃?」って感じだったんだよね。
でっ、でっ。衝撃ってのはラストもラスト。ホントに最後の1行。
っていうか、最後の4文字なのだった。
かなりショッキングで、「でも、もしかして考えすぎ?」とかとも思ったのだけど(上の写真には「衝撃のラスト1行」と書かれた帯付いているが、私の本には帯付いてなかったので、判断に苦しんだ)。
作品の解説でも、内容は明かせないのでかなりオブラートに包んで書いてあって、「やっぱりこのことかなぁ?」とかまだ悩む。
で、ネットでこの本を調べたところ・・・、やはり私の思い違いではないらしい。
うーん、思い違いであって欲しかったっ!
もしかしたら、流行らせようとがんばってたから、その効果が出たのかもしれないし♪
なんてね、判断に苦しんだってより、結局私は「そうであって欲しくない」って勝手に思い続けていただけなのかもしれないけどね。
ちなみに、ネットで調べた読んだ方の感想には「作者はこの一言を書くのが目的だったかもしれない」ってのもあって、それは確かにもっともなんだよね。
でも、かなり小説読むときに感情移入してしまう自分としては、これはかなりショックだ!

そんな感じで最近読んだ2冊。
このところミステリでははっきりした真相まではわからなくても「こう来るかも?」とか予想出来ちゃうことも多かったので。
かなりショックを受けながらも、上手くだましてくれる作品は嬉しかったりいたします。

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2005年4月 9日 (土)

不思議な縁

20050409 『トーキョー・キッチン』という本を図書館で借りた。
東京で暮らす若者の食生活とキッチンの情景を取材して写真と共に綴った物。

この本は本当に何気なく目に止まって借りてみた。
図書館で借りる場合は元々リストアップしてる借りたい本か、好きな作家、知っている作家以外は、本当に直感で目に付いて気になったら借りちゃうことが多い。
そうじゃないと、どの分野、どの書架だったかも忘れてしまうので2度と巡り合えないかもしれないし。

人の生活を取材したルポって結構好きなのだけど。
筆者の視点が結構好きな感じで面白かった。
それで著者の小林キユウさんの他の本も調べてみたのだけど・・・。
『箱庭センチメンタル』の著者ではないか・・・。
この本は、信濃毎日新聞の書評欄で気になって、読みたい本リストに入っていた。
でも、かなりリストの本は増えているし、それ以外にも読んでしまったりするので、この本はまだ読んでいなかったのだけど・・・。
暗い話題を扱っているので、なんか読むと気持ちが重くなりそうだってのもあったし。
でも、この人の視点なら読んでみたいかも。
そしてもっと調べると、『上京』って本も。信州毎日新聞で長野から上京した若者の生活を写真と文章で綴った連載があって、それをまとめた本だ。
数年前に終了しているが、確かに私もそれを読んでいた。まだ松本に住み始めたばかりの頃。逆の立場だったけれど、故郷から離れた知らない町でのひとり暮らしで、なんか色々な共感を持った覚えがある。
そうか。私はこの人の文章を既に読んでいたのか。

なんかこの方の本とは長いお付き合いになりそうです。

*そういえば、読んでいる最中も、前々回の御柱の話が出てきてね。
 その時点でも、「そうか、あの空間に居たんだな」ってちょっと感慨深かったんだけどね。

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